【大泉工場免疫力強化レポートVol.3】 山口タカさんインタビュー <前半>

免疫力強化レポートの第3回目は、日本初の一般向けのオーガニック専門誌「ORgA(オーガ)」を1997年に創刊、2000年「オーガニック電話帳」創刊・編集人でありオーガニックの普及をライフワークとして全国の有機農家や食品企業、レストランなど日本全国を取材している山口タカさんにオーガニックの魅力と免疫力についてお話を伺いました。是非ご一読ください。

オーガニックの先駆者、山口タカさんの魅力とは?

林:
山口タカさんはオーガニックを広めた先駆者だと思っています。タカさんを知らない読者の皆様のために今までの経歴をあらためて伺ってもよろしいですか?

山口:
今も昔もずっと基本的な仕事としては編集者ですね、雑誌や書籍を作ったり、様々なジャンル編集(ファッションからオーガニックまで)を広く手掛けました。もう40年近く編集をやっていますが、そのうち約20年はオーガニックが専門的なジャンルとして 本作りをしてきました。

オーガニックの分野はマーケットが小さいので、編集をやっているとセミナーだったりとか、色んなオーガニックフェアだとか業界との関係性を持ってくるので、オーガニックにまつわるイベントプロデュースなども今はやっています。

あと食育です。オーガニックと親和性があり、10数年前から服部幸應先生と出版活動を行っています。今後もライフワークとして継続します。

林:
昔の編集者はデスクで煙草を吸いながら深夜まで働いているイメージで、健康とは真逆です。そんな時代から編集者をしていたタカさんがなぜオーガニックに関心を示したのでしょうか?

食べることへの興味より人への興味が先だった

2

山口:
個人的な趣味嗜好からお話しますが、仕事とは並行してアウトドアをやっていました。旅とキャンプです。

当初は簡単なチャーハンやカレーなどのアウトドア料理をしていました。
もともと食にそれほど興味があったわけではないのですが、アウトドアをやると食材は地元で仕入れるため、農家さんの野菜をはじめ漁師町で魚を買ったりなど、自然に触れることが昔から当たり前のように自分の中にあった。育ちも漁師町ですから。

それでアウトドアの出版企画をやったのですが、いろいろ調べているうちにオーガニック(=有機)というキーワードが刺さってきました。当時はまだ興味の範疇で健康に留意することはなかった。

その企画を「ORgA」という雑誌で具現化したのですが
実際のところ農家に取材へ行くと非常に人が面白く、興味深い人が多かった。3年間で7冊ほどムック本を作ったのですが、日本全国を周って取材をして、その時に醤油や味噌、酢の蔵元も取材をしたのですが、食べることへの興味というよりは人への興味が当時は先でした。

本づくりをしながら徐々にですが、必然的に野菜や農薬の問題などに興味を抱きましたね。そして、やっぱりすべて「美味しい!」というのが、結論で循環のはじまりなんですね。オーガニックの食材は飽きないひとつの大きな理由です。

編集者の勘みたいなものですね。オーガニックというキーワードが自分の中にものすごく刺さった、そこからがスタート。

林:
生産者と話す時に苦労したことはありますか?

山口:
農家さんは、多くを語らずあまり喋らない方が多い。オーガニック(=有機)でやっている農家さんは、当時でも地元では「村八分」扱いされており、周囲から敬遠されることがあったそうです。理由として、「農薬を撒かないから虫が出る、だからうちに虫が来るんだ!」のようなことを言われ、ひどい時には火をつけられることもあったと聞きました。

地元では仲間はいないけれども遠くへ行き、有機を志す農家さん同士で勉強会をやり、ノウハウを持ち帰って、みんなに伝える。伝達、伝達なので全部が点なのです。
頑固で真摯に勉強をしているので、20年前は寡黙な方が多い印象でした。私が取材に行っても最初は農家の皆様はお話してくれません。

最初、こっちはとにかく知らないことばかりなので聞いて、教わっていくスタイルの取材でした。
本当に知らないので聞くしかなかったのですが、やはり喋ってくれません。
どうしたものか、と思いながら、そういう人達っていうのはその時は話さないけれども、少し時間が経って夕方になって「ちょっと食事でもしながら一杯飲むか!」という話になると一気に饒舌になる。(笑)
一度話し出すと、話が止まらなくなった。地方で取材していたため、方言などで理解が難しかったが、情熱はビンビン伝わってくる。テープに録音していたので聴き返しテープ起こしで理解がより深まると、さらにものすごく熱量が伝わってくるんです。

農家さんの話を聞いて、楽しそうに反応している自分が面白いというか。
人間的な魅力を改めて感じたりだとか。

取材の際に写真を撮ると、農家のかたは写真写りが良い。筋肉質で体が締まっており、日焼けして精悍。現場では苦労するが、被写体としては非常に映える。

加えて、そこで取れた野菜が非常に美味しい。これまで食べていたものと全く違う。そういったことが重なりオーガニックに魅了されていきました。体力的な苦労はありますが、取材をしていて面白かった方が断然多かったです。

林:
これまで一番良かった(美味しい)と思う農家さんはありますか?

山口:
美味しさにはいろいろな種類がある。それぞれの味に、優劣はつけられなくてどれも美味しい。

あえて言うのであれば、種取りからやっている長崎県島原の農家さん。
20年前は種に着目することは有機の世界でも意識されなかった時代。そんな時から種に着目した「すごさ」を感じた農家さんです。
有機の世界にはそんなパイオニア的な人が多くいます。人材の宝庫だと思います。

シンプルに「オーガニック=害を与えないもの」

3

林:
大泉工場との出会いは?

山口:
農家さんに取材が終わると知り合いの農家を紹介してほしい、と頼んでいます。人間関係の中で紹介してくれるので「百発百中」ハズレがありません。
福岡の糸島に行った際、オーガニックパパの八尋健次さんと話をしている中で、大泉工場を知りました。信頼する人からの紹介は信頼できる。

大泉工場は本社でファーマーズマーケットを実施したり、KOMBUCHA(コンブチャ)を製造・販売しているなど、新鮮味があって興味が徐々に沸いてきて、いくつかのタイミングが重なったというのがきっかけです。

林:
繋がりは重要ですよね、ありがとうございます。
大泉工場はオーガニックというキーワードで様々な事業を展開していますが、分かりやすくオーガニックって何ですか?

山口:
シンプルに伝えます。
「オーガニック=害を与えないもの」です。

オーガニックは人や自然、そして社会にも害を与えないのが魅力。そして、持続可能であり循環することです。体に害を与えず、半永久的に循環することがオーガニック最大の意義であり価値だと思っています。

林:コロナ禍で、生産者の声は?

山口:
日本茶の収穫シーズンで、静岡では新茶の流通が始まる時期。世界的に影響を与える新型コロナウイルスの状況の中でも、農業の世界は変わらず活動しています。自然は前と変わらないですし、世の中がどう動こうが生産現場は変わらない。

オーガニックの農産物は通常の市場で扱う変動制の相場ではなく、大きく左右されない。
もちろん自然災害で生産量が減少したり増えたりはありますが、慣行栽培と比較をして、大きなブレはありません。

流通量は個々に差が出ています。ただ日本茶はコロナ禍の影響で輸出が落ち込んでいます。
外食は需要が減っているので、レストランと直接取引している農家はつらいですね。逆に生協など通販・宅配は需要が伸びているので大きく変化しないまま夏に向かうのではないでしょうか。

林:
世界のオーガニック事情はいかがですか?

山口:
世界のオーガニックは日本も含めて伸びており、拡大傾向です。欧米が市場をけん引していますが、アメリカは特に伸びています。コロナ禍で被害の大きかったイタリアもオーガニックの消費は伸びています。
その他、中国、韓国、台湾や東南アジア、中東などもオーガニックは拡大しています。

日本は市場が伸びる速度が遅いのは、実感しています。

林:
なぜ遅いのですか?

山口:
理由は消費者意識です。
先程、申し上げましたがオーガニックの魅力は害がないこと。

日本は健康志向が強いけれど、環境に対する意識は世界の方が強い。日本では環境への意識が低いため伸びが遅いと思われます。日本でもSDGs(持続可能な開発目標)を含め環境意識は高まっていますが、欧米と比較するとオーガニックを底上げするまでには至っていません。

またヴィーガンやベジタリアンなども日本はファッション的意識が強い。ヨーロッパでのヴィーガン志向は、「肉をやめる」「畜産をやめる」など環境問題への意識として作用しているため、拡大の速度が速い。その波は日本にも来ていると思いますが、まだ意識の違いがありますね。

いまや大手スーパーでもオーガニックの商品は置かれています。「近くで売っていないから」は買わない理由ではなくなりました。でも、まだ商品の値段が高いという印象で、買わないという判断をされてしまう。健康や環境のことを考えると本当に高いのか?日々の食生活でのコスト意識、安いものはなぜ安いのかを知り、オーガニックはなぜ店頭では高いのか知ってもらえるとオーガニックは普及拡大すると思います。

後半では「オーガニックのプロ編集者がおススメする免疫力強化について」を説明します。

ABOUTこの記事をかいた人

TAK☆

大学在学中に、某新聞社編集局でアルバイトしていた頃、米同時多発テロ、えひめ丸事故などが発生。記者たちの姿に感銘を受け、世の中に対して「真実を伝える報道」への憧れを抱く。大学卒業後はPR会社に入社し、地方自治体や企業の広報サポートに従事。その後、新聞社を経験し、大泉工場にて現職である広報関連業務に携わる。最近の気になる言葉は「次世代」「街」「調和」、好きな映画監督はM・ナイト・シャマラン。メッセージを自身で考える作品を好む。