ブリコラージュ ― 断片を編む思考

こんにちは!デザインチームのJUNです。
大泉工場の掲げる『地球を笑顔で満たす』『素敵な環境を創造する』に共感して一緒に働いています。

先日、本屋を歩いているときに、ふと一冊の本が目に入りました。
特に目的があったわけではありません。ただ何となく、背表紙の文字に惹かれて手に取ったのが、小田亮氏の『レヴィ=ストロース入門』でした。人類学という言葉には、どこか遠い世界の話という印象があります。しかしページをめくると、その内容は驚くほど「今の自分」に近いものでした。本書の中で繰り返し紹介されるのが、フランスの人類学者 クロード・レヴィ=ストロース の思想、とりわけ「ブリコラージュ」という概念です。その言葉を読んだ瞬間、私は立ち止まりました。
なぜか、強く引っかかったのです。

ブリコラージュとは何か

ブリコラージュとは、限られた持ち合わせの雑多な材料や道具を使い、いまの状況に必要なものを作ること。あり合せの、よくわからないものを非予定調和的に集めておき、いざという時に役立てる能力、と説明されています。それは、明確な設計図から始まる合理的な創造とは少し違います。
未来を完全に見通したうえで材料を集めるのではなく、まず「いま、ここにあるもの」から始める態度です。

ジャングルで見つけた断片

レヴィ=ストロースは南米の先住民族を研究する中で、興味深い習慣に気づきました。
彼らはジャングルを歩いている途中で何かを見つけると、その時は何の役に立つかわからなくても、「いつか何かに使えるかもしれない」と考え、袋に入れて持ち帰るのです。
用途は不明確。意味も定まっていない。
しかしその「よくわからないもの」が、後にコミュニティの危機を救うことがあったといいます。
重要なのは、「確信」ではなく「予感」です。役に立つと断言できなくても、可能性を閉じない態度。
レヴィ=ストロースは、この能力がコミュニティの存続に重要な影響を与えると説明しています。

そこから導かれた概念が、『ブリコラージュ』なのです。

イノベーションの本質

この考え方は、イノベーション論にも通じます。
私たちは、発明とは明確な使用目的があり、それに向かって合理的に開発されるものだと考えがちです。しかし実際には、多くの発明が当初の想定とは異なる領域で大きな価値を生み出してきました。

エジソンの蓄音機もそうです。もともとは速記録や遺言の保存に使えるだろう、その程度の想定だったといわれています。ところが結果的に、音楽産業という巨大な市場を生み出しました。用途を明確にしすぎると可能性を狭めてしまう。しかし曖昧なままでは商業化が難しい。

このジレンマを乗り越える鍵として、ブリコラージュの視点があるのです。最初のプロセスは「観察と収集」。日常の中で心が動いた断片を、意味が見えなくてもストックしておく。
その積み重ねが、未来の創造につながります。

サーキュラーエコノミーとの接点

この「ブリコラージュ」という考え方に触れたとき、我が社、大泉工場が実践しているサーキュラーエコノミーを思い浮かべました。
循環とは、単に資源を回収して再利用する仕組みではありません。「いま、ここにあるものをどう生かすか」という問いから始まる思考です。廃棄されるはずの素材。役目を終えた建物。既存の設備や仕組み。
それらを終わりとして処理するのではなく、「いつか何かに役立つかもしれない」という視点で見つめ直す。
その考え方は、まさにブリコラージュです。
大泉工場のサーキュラーエコノミーは、資源をぐるぐる回すことだけが目的ではありません。
価値の定義を更新し、意味を再配置し続けること。足元にある断片の可能性を信じること。
大量生産・大量消費というエンジニア的な発想から一歩引き、いま存在しているものを編集し直す。
それは循環型ビジネスであると同時に、循環する思考様式でもあると感じています。

未来は足元にある

ブリコラージュは、不足の思想ではありません。創造の考えです。
あり合せのよくわからないものを集めておくこと。その中に可能性を見ること。

未来は遠くにあるのではなく、足元にある断片の中に眠っているのかもしれません。大泉工場が目指すサーキュラーエコノミーもまた、この「あるもので未来をつくる」という姿勢の上に成り立っています。観察し、収集し、再編集する。その繰り返しが、持続可能な社会の土台になる。

ブリコラージュという言葉に出会ったことで、私はあらためて、日常の中に転がる小さな可能性を丁寧に拾い上げていきたいと思いました。
それがきっと、未来を編む最初の一歩なのだと思います。

大泉工場リクルートサイト

ABOUTこの記事をかいた人

YAMAGUCHI JUN

「地球を笑顔で満たす」をミッションに掲げて、「well-being」な様々なビジネスを展開している大泉工場に共感して入社。デザインの視点から、笑顔で素敵な環境を創造していくべく奮闘中。FAVORITE WORDS:『I LIKE TODAY』『TODAY IS A GOOD DAY』