こんにちは。大泉工場でWebディレクターをしている白熊です。
ECサイトやブランド全体のWebディレクションを担当しながら、「どう伝え、どう届けるか」を日々考えています。
スーパーで卵を買おうとして、値札を見て驚いた人も多いと思います。12個入りで300円を超え、ニュースになるほど卵の値段は上がりました。
どうして卵は、ここまで高くなったのでしょうか。
結論から言うと、卵の値段は卵そのものではなく、ニワトリを取り巻く環境によって大きく左右されています。卵は毎日産まれる身近な食材ですが、その裏側はとても繊細で、不安定です。
まず大きいのが、ニワトリのエサ代です。主なエサであるトウモロコシや大豆は、多くを海外からの輸入に頼っています。円安や世界情勢の変化、穀物価格の上昇が起きると、エサ代は一気に上がります。卵はもともと利益が出にくい商品なので、このコスト増は価格に反映されやすくなります。

次に影響が大きいのが、鳥インフルエンザです。感染が確認されると、その農場ではニワトリを大量に処分しなければなりません。その結果、産卵数は急激に減り、元の状態に戻るまでには数か月から1年以上かかることもあります。供給が減れば、価格が上がるのは避けられません。
さらに、卵は長期間保存できないという性質があります。作りすぎて在庫として抱えることができないため、需要が少し変わるだけでも価格が動きやすい食品です。加えて、24時間の空調管理や照明、毎日の世話にかかる電気代や人件費の上昇も、じわじわと価格に影響しています。
こうして見ると、卵が高くなった理由は、どれも現実的で避けにくいものばかりです。それでも個人的には、あれだけ多用途で栄養価が高く、日々の料理を支えてくれる食材としては、まだ安いと感じる部分もあります。焼いても、茹でても、混ぜても使え、主役にも脇役にもなれる卵は、やはり特別な存在です。

一方で、その「当たり前」をすべて卵に頼り続けるのも、現実的ではなくなってきています。ニワトリを育てる環境は、これからも簡単には安定しません。だからこそ最近は、卵を使わないレシピや、卵の代わりになる食材が少しずつ増えてきました。
プラントベースの食品は、卵の代替品というより、もうひとつの現実的な選択肢です。原料の調達先を分散でき、生き物に依存しないため、価格や供給の変動を受けにくいという特徴があります。安定して食を届け続けるためには、こうした選択肢があること自体が重要になってきます。
大切なのは、卵を否定することでも、正解をひとつに決めることでもありません。「卵がある日」と「卵がなくても困らない日」、その両方が用意されていること。卵は今でも十分に価値のある食材です。それでも、その価値をすべて卵だけに背負わせないために、プラントベースという選択肢を増やしていく。
大泉工場が目指しているのは、どちらかを選ばせることではなく、日常の選択肢を静かに広げていくことです。
たとえば最近の取り組みとして、「planet rolls」があります。大泉工場が手がけるこのブランドは、植物由来の素材から新しい食体験をつくろうとするチャレンジで、従来の選択肢に「もうひとつの現実」を加える試みです。卵や乳製品の味わいや機能を完全に再現することを目的にするのではなく、「別の楽しさ」を提示することで、食卓の自由度を広げています。
こうした動きは、単なる代替ではなく、社会の多様なニーズに応える装置として機能します。従来の食品だけでなく、新しい食材や調理法、価値観が並存する世界は、結果として誰にとっても「選びやすい日常」につながるのではないでしょうか。





