大泉工場でマーケティングを担当している海老沼です。今回は、私が大切にしている価値観「侘び寂び」について書いてみたいと思います。
完璧に整えられたものに、心が奪われることがある。けれど、少し欠けた器や、色あせた木の風合いに、なぜかほっとする瞬間もある。どちらかというと、わたしは不完全な美しさに魅了されるほうかもしれません。この感覚は、日本の美意識「侘び寂び」にどこか通じている気がして、不完全さの中に宿る美しさを、ふと思い出すことがあります。
禅の思想を背景に育まれたこの感性は、豪華さとは対極にありながら、静かに世界へ広がっていきました。『茶の本』の中で岡倉天心が記した「不完全を敬う心」は、今も暮らしの奥にやわらかく息づいています。不完全さは欠けているのではなく、その人やその物だけが持つ個性なのだと、そっと教えてくれているように思うのです。
移ろう季節、ひびの入った器、余白のある空間。完成されていないからこそ想像の余地が生まれ、心が入り込む隙間ができる。華やかな時代だからこそ、静けさに耳を澄ませたくなることもあります。
侘び寂びは、足るを知る感覚を静かに思い出させてくれる美意識。余裕からにじむ美しさこそが、人を本当の意味で輝かせるのかもしれない——そんなことを、日々の暮らしの中で感じています。


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