- 機能性発酵飲料「_SHIP KOMBUCHA」の製造販売
- 100% Plant-Based/Naturalな素材にこだわったカフェ「1110 CAFE/BAKERY(川口市領家)、「BROOKS GREENLIT CAFE(港区南青山)」の運営
- 約3000坪の自社敷地を活用した各種イベントを開催
- 自社農場で野菜の有機栽培に挑戦
- サーキュラーエコノミーの実践 などなど
素敵な環境を創造し続け、世の中を笑顔で満たす活動をしている、大泉工場のKANです。
僕が社会人になって教わった、仕事と向き合う上で重要なことのひとつが「面割りをしろ」ということだった。
今でもこのことは、自分の仕事観の根っこにずっと残っている。
学生を卒業してから社会に出て、給料をもらって仕事をする。
その経験は、一生続く人もいれば、数年でやめてしまう人もいる。会社を勤め上げる人もいれば、独立して働く人もいる。どれが正解ということはないけれど、僕の場合は大学卒業後、パルコに入って5年間、いわゆる「会社員」というものをやらせてもらった。振り返れば、あの5年間で体に刻み込まれた感覚は、今の僕の経営にも仕事観にも大きく影響している。
パルコでの仕事の中でも、特に印象的だったことの一つが、デザイン会社と広告媒体をつくる仕事だ。
ポスターやチラシをつくり、お客様に届ける。その広告媒体に掲載される情報は、もちろん正確でなければならないし、表現の仕方ひとつで来店客数が大きく変わる。広告とは「お金を払って人の行動を動かす」行為だ。だからこそ、あの時の経験は、僕にとって仕事の原点だった。
当時の僕は、初めてチラシ制作を任されて、右も左もわからないままデザイン会社とやり取りをさせてもらった。
締切は迫るのに、話は一向に進まない。机に向かって「どうすればいいんだろう」と悩み続けても、形にはならない。
そんな僕を見かねて、上司が言ってくれたのが「面割りをしなさい」という指示だった。
面割りとは、紙面のどこに何を、どのくらいの大きさで載せたいかを指示する作業だ。ラフスケッチのようなものと言ってもいい。これがなければ、デザイン会社の担当者さんは、僕の頭の中を読み取ることはできない。
今となっては当たり前の話なのだが、当時の僕はそれをやっていなかった。つまり、僕は「仕事の起点」をつくっていなかったのだ。
この経験から僕は学んだ。
仕事において、起点をつくるのは自分自身だ。
デザイン会社は「代理」でデザインをしてくれる存在だ。でも「代理」とは、あくまでこちらのイメージを形にするための存在であって、僕の頭の中のイメージそのものまでは代理できない。もしもこちらがゼロから丸投げしてしまえば、それはもう相手の仕事になってしまう。それは発注ではなく依存だ。依存が続けば責任感は失われ、仕事はすぐに「他人ごと」になってしまう。
ここで誤解してほしくないのは、「代理」という形態を否定したいわけではないということだ。
世の中には広告代理店も、デザイン会社も、PR会社もたくさんあるし、彼らの存在は欠かせない。むしろ彼らがいるからこそ、僕らのイメージが洗練され、形になる。
問題は「発注側が主体性を持っているかどうか」だ。
発注する側がイメージを提示しないと、代理の仕事は始まらない。代理はあくまで「代理」であって「代替」ではない。ここを取り違えると、すべての歯車が噛み合わなくなる。
パルコで学んだこの感覚は、大泉工場で仕事をする今もまったく同じであり、僕以外のすべてのスタッフに共通して言える。
僕らの会社は、発酵飲料やPlant-Based Cafeの企画製造販売、さらにイベントを手掛けているが、どれも「ゼロから主体的につくること」が前提だ。例えば、新しいカフェをつくるとき、内装デザインを依頼することはあっても、僕らがどんな空間を生み出したいのか、その思想を丸投げすることはできない。商品開発も同じ。レシピを考えるシェフにすべてを委ねるのではなく、「僕らが世の中に出したい味や体験」をまず定義しなければならない。当然、会社主催で実施するイベントも演出も、「どうしたいか」がないと、始まらない。
もしここを放棄してしまえば、すべては他者の作品になってしまう。
僕はそれを「仕事を放棄する」と呼んでいる。
主体性とは何か。
それは「起点を自分で持つこと」だと思う。
誰かに頼るのではなく、自分で最初の点を打ち、線を引くこと。曖昧でも下手でも構わない。大事なのは、まず点を打つ、つまり「最初の意思表示をする」ことだ。あとは周りの力を借りながら洗練していけばいい。
それができることが、主体となりうる企業に勤め、働く最大の旨みと言っても過言ではない。
サウナの中でこのことを思い出していた。
熱気の中でぼんやりと考えていたのは、仕事を「主体的にやる」ってどういうことだろう、という問いだった。
そして思い出したのが、あのとき上司に言われた「面割りしなさい」という言葉だ。
あれは、ただのチラシづくりの指示ではなく、「仕事をする上での姿勢」を教えてくれていたんだと思う。
主体性を持たずに他人に丸投げすれば、それは仕事じゃない。僕らは代理を必要とすることはあっても、主体を放棄してはいけない。
代理は大事。けれど主体はもっと大事。
この順番を間違えなければ、仕事はきっと面白くなる。
そして僕は今も、自分に問いかける。
「ちゃんと面割りしているか?」と。
大泉工場というフィールドには、リスクを恐れず面割りをする機会がたくさんある。
もし興味を持っていただけたら、ぜひ一緒に挑戦してみてほしい。
(リクルートページはこちら)