- 機能性発酵飲料「_SHIP KOMBUCHA」の製造販売
- 100% Plant-Based/Naturalな素材にこだわったカフェ「1110 CAFE/BAKERY(川口市領家)、「BROOKS GREENLIT CAFE(港区南青山)」の運営
- 約3000坪の自社敷地を活用した各種イベントを開催
- 自社農場で野菜の有機栽培に挑戦
- サーキュラーエコノミーの実践 などなど
素敵な環境を創造し続け、世の中を笑顔で満たす活動をしている、大泉工場のKANです。
僕らは日常で、何気なく言葉を使っている。
けれど、その意味や起源について深く考えることはほとんどない。
たとえば「犬」はなぜ「犬」なのか。「石」はなぜ「石」なのか。
幼い頃から、ふとした瞬間にこんな疑問が頭をよぎり、自分でもよく分からない迷路に入り込んでしまうことがあった。
生まれた時から、犬は犬として存在している。
大きさも性格も顔もまったく違うのに、どれも“犬”というひとつの名称で括られている。
石も同じだ。形も重さも色も違うのに、すべて“石”。
僕らはその呼び名に疑問を抱く暇もなく、「そういうものだ」と理解して生きている。
でも、冷静に考えるとこれはとても不思議だ。
どこかのタイミングで、誰かが最初に「これは犬」「これは石」と決めた。
その約束ごとが長い年月を経て受け継がれ、いまの僕らの日常をつくっている。
名称は、実態のない“記号”にすぎない。
けれど、その記号が世界の理解の仕方や、ものごとへの態度、価値の感じ方まで左右してしまう。
とても曖昧で、でもとても強いものが「名称」だ。
食品・飲料の仕事をしている僕にとって、その名称の不思議さを最も強烈に感じる存在——それが「コーラ」だ。
コーラという言葉を、僕は長いあいだ“商品名”だと思っていた。
コカコーラやペプシコーラなどの巨大ブランドが並ぶ姿を自然に受け入れ、コーラという名称自体を疑問視したことはなかった。
でもある時、「コーラはカテゴリー名だ」と知って驚いた。
ジュース、水、お茶、ワインと並列で“コーラ”。
そう考えた瞬間、この飲み物の存在が一気に特別なものに感じられた。
コーラは、南米の「コカの葉」とアフリカの「コーラナッツ」。
この二つの植物が出会い、1886年にアメリカの薬剤師ジョン・ペンバートンが生み出した飲み物だ。
もともとは薬として売られていたものが、アルコールを含む時期を経てノンアルコールへ移り変わり、さらに法律の関係でコカの成分が取り除かれ、いまの姿になった。
つまり、「コーラ」という名称は最初、“植物の名前を合わせただけの飲み物名”でしかなかった。
それが100年以上かけて、いまでは世界中で共有される“カテゴリー名”になっている。
一つの飲み物の名称が、ここまで世界規模で一般化するなんて、すごい話だ。
もうひとつ面白いのは、現在の“コーラの定義”だ。
業界的には、だいたい次のように定義されている。
「カラメル色素で黒く、スパイスと柑橘を基調とした香りがあり、甘味と炭酸をともなう清涼飲料」
ここにはすでに、「コカ」も「コーラナッツ」も登場しない。
創業時の本質的な成分は姿を消し、別の基準で“コーラらしさ”が決まっている。
つまり、名称だけが残り、中身はまったく変わった——それでも誰も疑問に思わない。
僕は、この現象にとても興味がある。
名称は、本質を説明するものではない。
名称とは、便利だから残っているだけの“記号”だ。
そしてその記号は、時代背景や人々のイメージ、文化の流れなど、目に見えないものを背負いながら生き続けている。
この「名称の不思議さ」は、僕自身が向き合っている KOMBUCHA にも直結する。
よく聞かれる質問に、
「なんでKOMBUCHAっていうの?」
がある。
KOMBUCHAのルーツは実はかなり複雑で、ざっくり言うとこうだ。
・アジア圏に「発酵茶(コンブチャの原型)」となる伝統的な飲み物があった
・そのレシピが戦後アメリカに渡り、ヒッピー文化の中で独自進化した
・韓国人が持ち込んだ際「コンチャ」と呼ばれ、それをアメリカ人が「KOMBUCHA」と発音・表記した
・クラフト化の流れもあって、世界的なカテゴリーに育った
この流れを説明した後、僕はこう付け加える。
「KOMBUCHAは商品名じゃなくて、コーラと同じカテゴリー名なんだよ」
言葉というのは、厳密な意味より「みんながそう呼び続けてきた」という事実のほうが強い。結局、名称とは人間が決めた約束ごとにすぎない。
とはいえ、その約束ごとが持つ力は大きい。
カテゴリーという“誰かが決めた言葉の枠”が、人々の購買行動にも影響する。
「聞いたことのないカテゴリー」は不安になるし、「知っている名称」には安心感が生まれる。これだけで売れ行きが大きく変わることがある。
日本ではまだ、KOMBUCHAの認知が十分ではない。
だからこそ、コーラの歴史を知ると、僕らがこれから向き合うべきヒントがたくさんある。
カテゴリーが広まるとき、そこには必ず“物語の共有”がある。
その飲み物が何を原料にしているか以上に、
どんな価値観を背負っているのか、
どんな楽しみ方があるのか、
どんな未来をめざしているのか——。
そのイメージが共有されたときに、人は安心して手に取る。
コーラは20世紀アメリカの象徴だったのだろう。
アメリカの文化、価値観、時代の空気とセットで世界中に伝わったから、「コーラ」という名称が“世界語”になったのだと思う。
では、KOMBUCHAはどうか。
KOMBUCHAが持っている背景は、「発酵」「微生物」「ウェルビーイング」「自然との共生」「自分の体との対話」。現代らしい価値観が詰まった飲み物だ。
世界で広がっている理由も、日本でまだ広がりきらない理由も、この価値観の“文化的な熟し具合”にあると思う。
そして、僕らは _SHIP KOMBUCHAを通じて、まさにこの価値観を日常に届けようとしている。
単なる飲み物ではなく、“新しい習慣”として日本に広めていくことを目指している。
名称はただの音に見えるけれど、その裏には、人の経験や文化の記憶が折り重なっている。そして、これからの時代をどう生きるかという価値観さえ映し出してしまう。
コーラがそうであったように、KOMBUCHAという言葉にも、これからの時代を象徴する物語が宿っていくはずだ。
その物語をどう描き、どう伝え、どう日常に落とし込むか。
そこに、_SHIP KOMBUCHA の未来がある。
言葉は曖昧だ。
でも、言葉は未来をつくる。
コーラの歴史と、KOMBUCHAのこれからを重ねながら、そんなことを考えている。
共に新しい歴史を、創造していける仲間を、大泉工場では募集しています。
興味を持たれたらぜひ、お気軽にエントリーください。





