発酵という宇宙

こんにちは、Design Team タナカです。

最近、人やモノと出会う「タイミング」についてよく考えます。そのタイミングだったから出会えた人や、浮かんだイメージがあるのだと。

昨年、入社する少し前、東京国立近代美術館でヒルマ・アフ・クリントの企画展を見ました。高さ3mを超える10点の絵画が並ぶ空間は圧巻でした。鮮やかな色使いの抽象絵画は、 読み解けない謎でありながら、誰かの瞑想世界を覗かせてもらっているような、あたたかい宇宙のように感じられました。

その後、入社時のオリエンテーションで 初めてTAPROOM奥のブルワリーに入り、製造工程の丁寧な説明を受けました。さらに _SHIP KOMBUCHA が発酵している様子も見せてもらいました。

スチール製の大きな容器が並び、それぞれの容器には呼吸ができるよう布がかけられ、温度が管理されています。布をそっと剥がしてのぞいてみると、暗がりのKOMBUCHAの液体に ポコン、ポコンと、ゆっくり大きめの泡が浮かび上がっていました。

その光景が、ヒルマ・アフ・クリントの絵の中にあった あの宇宙と、私の中で結びつきました。

それ以来、私にとって発酵というプロセスは、どこか神秘的で、宇宙の営みのようなイメージになっています。

入社から半年ほど経った頃、「GINGER GROOVE」という冬季限定商品の製造工程を撮影する機会がありました。自社農場で育てたジンジャーをプロダクトに使い、その残渣(ざんさ)として出た 茶葉や生姜、スパイスなどをコンポストに入れる場面を、初めて見ました。

ブルワーが残渣を入れ、土をかき混ぜると、中は発酵していて、ほんのり温かい。手に取って鼻に近づけても、驚くほど、まったく臭いがありませんでした。コンポストの縁には、たくさんの小さな虫たちがいました。彼らがこの土をきれいにし、また使えるものにしてくれているのだと思うと、自然と感動していました。

コンポストの前で作業していると、通りかかった数人のお客さまが興味を持ってくださいました。あとで、同行していたPRチームの方が撮ってくれた動画を見せてもらうと、小さな白い虫が無数にうごめいていて、 正直「おお、これはけっこう気持ち悪い」と思いました。ゾワゾワしましたが、でもやっぱり感動でした。

このタイミングでこの場所にいなければ、出会えなかった人やイメージ、出来事があります。出会いの接点が少し変わるだけで、物事の見え方は変わります。

発酵とヒルマ・アフ・クリントの世界とを重ねてみたり、仕事をしながら、小さな虫や見えない菌の働きを感じ、実際に土に触れる体験ができることはとても特別なことだと思っています。もし興味を持っていただけたら、ぜひどんなところか遊びに来てください。