こんにちは、1110 CAEF/BAKERYのシェフ野上です。
料理を作る上で、私が常に意識しているのが「五味」です。
五味とは、甘味・旨味・塩味・酸味・苦味という、人が基本的に感じ取る5つの味覚のこと。
この五味が絶妙に重なり合うことで、料理は複雑さと深みを増し、最後の一口まで飽きずに楽しめる一皿になります。
たとえば、甘味は安心感を、塩味は味を引き締め、全体をまとめる力を持ちます。
旨味は満足感と豊かさを、酸味は料理に軽やかさとリズムを与えます。
そして、少し意外かもしれませんが、苦味は味に奥行きや大人っぽい余韻を生み出す重要な存在。
実はこの「苦味」をおいしさとして楽しめるのは日本人ならではとも言われています。
抹茶や山菜、ゆず皮など、日本の食文化には繊細な苦味を愛でる感覚が息づいているのです。
私はもともとパティシエとしてケーキを作る仕事をしていましたが、料理も提供するお店で働いていた経験があります。
だから私にとって料理は、ケーキを組み立てるような感覚に近いんです。
一層ずつ味を重ねていくように、五味を積み上げていくことで、一口ごとに新しい発見があり、最後まで飽きずに楽しめる――
そんな構成を考えることが、私の料理づくりの原点です。
今回、1110 CAFE/BAKERYで挑戦したのは、プラントベースのお月見バーガー。
プラントベースだからこそ難しい「満足感」と「味の変化」を、どう一つのハンバーガーに詰め込むかに挑みました。

ふんわり香ばしいバンズと、ソテーしたいちじくがもたらすやさしい甘味。
特製の大豆パティは、リアルな食感とジューシーさを追求し、プラントベースでもしっかりした旨味を感じられるように仕上げています。
レモン麹ソースは爽やかな酸味と塩味を添え、全体のバランスを引き締める役割を担います。
そして仕上げには、ソテーした舞茸のほろ苦さがふっと香り、最後に心地よい余韻を残します。
特にパティは、大豆ミートでは出しにくい肉らしさを意識して試作を重ねました。
「プラントベースだから物足りない」という先入観を覆したい。そんな想いを込めた自信作です。
さらに、月見バーガーに欠かせない目玉焼きも、完全プラントベースで一から開発。
見た目や味わいにとことんこだわり、プラントベースであることを忘れるような仕上がりを目指しました。
この月見バーガーは、ハッシュドポテトとピクルスが付いたセットでご提供します。
さらにフェア限定で、舞茸と栗を合わせた『マッシュルームロール』や、
スイートポテトと大学芋を掛け合わせた『スイートポテトロール』も登場。
秋の味覚をたっぷり詰め込んだ、ここだけのラインナップです。
9月から始まっているお月見フェアは、秋フェア第2弾や季節ごとのイベントへと続いていきます。
五味が織りなす新しい味覚体験を1110 CAFE/BAKERYでぜひお楽しみください。
