“おいしい”がなければ、どんな思想も届かない。

こんにちは、Webディレクターとして、ブランドのデジタル戦略やWebサイトの運営に関わる仕事をしている白熊(しらくま)です。

■「社会的な正しさ」よりも、「感じられる正しさ」が選ばれている

PwCJapanが2022年に実施した調査によると、「サステナブルな商品を購入したことがあり、今後も継続したい」と答えた日本の生活者は全体の24%にとどまっています(出典:pwc.com)。
「環境にやさしい」「社会的に意義がある」といった社会的な“正しさ”だけでは、商品が選ばれ続ける理由にはなりにくいという現実があります。
その一方で、「おいしい」「体に合う」といった“感じられる正しさ”、つまり実感できる価値のほうが、継続の動機としてはるかに強く働いていると感じています。


■「好き」は、“おいしさ”から始まる

前職で携わっていたクラフトチョコレートブランドでは、どれほど原料や製法にこだわっていても、まず届けたかったのは「おいしさ」でした。
お客様の声でも、最初に返ってくるのは「おいしかった」「好きになった」という実感でした。
そして「実はダイレクトトレードで作られていると知って、もっと応援したくなった」といった順序で、背景への共感が生まれていきます。
「おいしさ」が「好き」を育て、「好き」が理解や共感の入口になっていると感じています。


■_SHIPでも、最初も継続も“おいしいから”

現在携わっているコンブチャブランド「_SHIP」でも、最初の購入理由も、継続してくださっている理由も、圧倒的に「おいしいから」です。
もちろんオーガニック原料であることや、発酵による身体への良い影響なども設計には含まれていますが、それだけでは多くの人は続けてくれません。
最初に「おいしい」と感じてもらえること。それがすべての出発点であり、商品としての“正しさ”を体験として届けるための基盤になっています。


■おいしさ→好き→背景という順序

人が商品を好きになるとき、まず動くのは情報よりも身体です。
「なんとなく心地いい」「また飲みたい」「この味が好き」といった体感があるからこそ、その先にある背景や考え方にも自然と関心が向いていきます。
この順序こそ、生活者とブランドが無理なく関係を築いていくための自然な流れだと思っています。


■Webの枠を超えて、プロダクトに関わる理由

私はWebディレクターとして入社しましたが、前職から商品開発や体験設計にも関わっています。
なぜなら、伝えることの本質はWebや言葉だけではなく、「最初のひと口」の体験にあると考えているからです。
そのひと口で「おいしい」と感じてもらえるかどうか。
その実感があれば、ブランドへの信頼は自然と育ち、背景にある思想や取り組みも伝わっていくと信じています。


■まとめ:「おいしいから好きになる、好きだから続けたくなる」

伝えたい価値観や思想があるなら、まず“好きになってもらえる商品”をつくることが大切です。
そして「好き」になるためのいちばんの入口が、「おいしい」と感じてもらえることだと思います。
その身体的な納得があってはじめて、ブランドと生活者との関係が始まり、続いていきます。
正しさを語る前に、「おいしいかどうか」を真剣に考える。
それこそが、私がWebディレクターという肩書きを超えて、もっとも大切にしていることです。