風呂場のガラスを拭く手から…

  • 機能性発酵飲料「_SHIP KOMBUCHA」の製造販売
  • 100% Plant-Based/Naturalな素材にこだわったカフェ「1110 CAFE/BAKERY(川口市領家)、「BROOKS GREENLIT CAFE(港区南青山)」の運営
  • 約3000坪の自社敷地を活用した各種イベントを開催
  • 自社農場で野菜の有機栽培に挑戦
  • サーキュラーエコノミーの実践                        などなど

素敵な環境を創造し続け、世の中を笑顔で満たす活動をしている、大泉工場のKANです。

僕には、いくつかの「無意識にやってしまう習慣」がある。
そのひとつが、浴室のガラスを拭くこと──この何気ない所作が、僕の暮らしや仕事の発想にまで、知らず知らずのうちに影響を与えている気がする。

毎日湯船につかるわけではないが、シャワーを浴びた後は必ず、ガラス面をバスタオルで丁寧に拭き上げる。まるでホテルのハウスキーピングのように。

なぜそんなことをするのかと聞かれたら、理由は単純。水垢を残したくないから。
……と言ってしまえばそれまでだが、この習慣は僕の暮らし方や仕事の仕方に、少なからず影響を与えている。

ガラス越しの景色がくれる感覚

今住んでいる部屋は、浴室の2面(うち一面は扉)が大きな透明ガラスになっている。外から見れば、ガラス越しに湯気が立ち上る姿まで透けそうなほどだ(もちろんブラインドはついている笑)。
なんとも開放的で、少しセクシーですらある造りだが、この美しさは放っておくとすぐに曇る。水滴が乾いて白い跡となり、せっかくの透明感を台無しにする。

以前住んでいた、同じ物件の555号室では、正直そこまで気を使っていなかった。毎日の入浴でガラスはじわじわと曇り、気づけば視界の先がぼんやりと白く濁っていた。
その部屋に引っ越した当初は、それを「仕方ないもの」と片付けていた。

しかし3年前、同じ物件内の888号室へと移ったとき、心機一転、この浴室を“ずっと美しいまま保つ”と決めた。以来、使い終わるたびにバスタオルでガラスを拭き上げるのが日課になった。2年経った今も、浴室はほぼ新品同様の透明感を保っている。

シャンプーやリンスのボトルも、出しっぱなしにしない。使うときだけ戸棚から出し、終わればすぐに戻す。たったそれだけのことなのに、浴室に入った瞬間の空気が違う。空間が澄んでいるのだ。

環境は発想の土壌

僕は、新しい発想やクリエイティブは「美しい環境」から生まれると考えている。
この“美しい”という言葉は、決して万人共通の基準があるわけではない。何もないミニマルな部屋を美しいと感じる人もいれば、本や資料が高く積まれた書斎を美しいと感じる人もいる。大事なのは、その人にとっての“心地よい秩序”が保たれていることだと思う。

ただ、あえて言えば、意図的に汚れた空間を好む人は少ないはずだ。
目に映る景色や手触りが整っていると、頭の中も自然と整理され、考えがクリアになる。浴室のガラスを拭き上げたあとのすっきり感は、まさにそれを象徴している。

サウナのワーキングスペースから

このコラムも、習慣となっているサウナ施設のワーキングスペースで書いている。
そこは余計な物はなく、湿度や照明も心地よく設計されており、思考が自然と深く潜っていく感覚がある。ノイズがないというのは、これほどまでに集中力を高めるのかと、毎回驚かされる。

僕がこの場所を選ぶのは、決して偶然ではない。自宅、職場、外出先──どこにいても、思考の質を左右するのは環境だと実感しているからだ。

大泉工場本社の美しさ

6年前の2019年1月、僕たちは大泉工場初代社長が建てた築80年以上の洋館をリノベーションし、本社とした。
老朽化した建物の修繕を含む、総工費は決して安くはなかったが、仕上がった空間は訪れる人々を驚かせ、感動させる力を持っている。木製の階段のきしむ音、数多くの窓から差し込む柔らかな光、季節ごとに変わる庭の匂い──そのすべてが、この場所の価値を作っている。

普段は非公開だが、定期的に見学会を開き、来訪者を案内する。訪れた人が目を輝かせ、スタッフが誇らしげに建物を紹介する様子を見るたびに、「環境が人を動かす」という事実を改めて感じる。

この美しさは、自然に保たれているわけではない。日々ここで働くスタッフが理解し、手をかけ、丁寧に扱っているからこそ続いているのだ。

時代とともにアップデートする

建物も人も、年月とともに老朽化する。
だが、それをどう活かすかは時代の進化とともにアップデートできる。浴室のガラスの水滴を拭き取るように、日々の小さな手入れや心がけが、その空間の価値を未来へつなげていく。

僕にとって、888号室の浴室と大泉工場の本社は、同じ意味を持っている。
どちらも“美しく保つ”ことで、その場所に集まる人の心を整え、新しい発想や行動のきっかけを生み出す。

美しい環境は連鎖する

面白いことに、美しい環境は人から人へと連鎖する。
整った空間で働くスタッフは自然と背筋が伸び、その姿を見た来訪者もまた、自分の環境を整えたくなる。そうやって広がる“美しさの連鎖”は、やがて社会全体の空気を少しずつ変えていくのではないか──そんな希望を僕は持っている。

美しさは贅沢ではなく、土台だ。
クリエイティブもビジネスも、人の暮らしも、この土台がしっかりしていれば、そこから伸びる枝葉は自由でしなやかになる。

だから僕は、これからも浴室のガラスを拭き続ける。
そして、大泉工場という場を美しく保ち続ける。

それは単なる掃除や維持管理ではなく、新しい価値を生み出すための“最初の一手”なのだ。
今日もまた、美しい環境から、次のクリエイティブが始まっていく。

こんな美しい空間で共に学び、働ける仲間を、大泉工場は常に募集している。

ぜひ興味を持っていただけたら、アクセスして欲しい。

▶︎大泉工場リクルートページ