「精進料理」「ヴィーガン」「ベジタリアン」どう違うの?

こんにちは。大泉工場PRteamの牧野です。

健康や環境のために「プラントベースフード(植物由来食品)」を選ぶ人が世界的に増えていますね。

日本にも昔から植物由来のスタイルである「精進料理」がありますが、その根っこにある想いは少し違うような気がしたので、これらを比べてみると「なぜ日本ではプラントベースフードがあまり広まらないのか」ということがちょっと気になってきました。

大泉工場では、「1110 CAFE/BAKERY」「 BROOKS GREENLIT CAFE」というプラントベースカフェを運営しています。今回はプラントベースフードを選ぶ考え方の違いから、私なりにどうしたら日本でプラントベースがもっと広がるのかをテーマにしました。

同じ「プラントベース」でも、成り立ちがちょっと違う。

日本には昔から「精進料理」という、動物性の食材を使わない食文化があります。「ヴィーガン」や「ベジタリアン」などと同じく、“肉や魚を食べない”という点では似ていますが、その背景や目的はまったく違います。

それぞれの思想を調べてみると、私たちがこれから「何をどう食べていくか」のヒントが見えてきました。

“食べる修行”からはじまった、心を整えるための「精進料理」

精進料理はもともと、仏教の“不殺生”の教えに基づいてお寺で修行する僧侶の食事として生まれた食事として、長い歴史を持っています。お肉や魚だけでなく、心を穏やかに保つためにねぎやにんにくのような刺激の強い野菜も使わず、食材をできるだけ無駄なく丁寧に使い切る、そんな精神が受け継がれています。

目的は、カラダを清めることよりも“心を整えること”とのことで、味の濃さや派手さを求めず、季節の野菜をじっくり味わうことを大切にしています。日本人は食事の前に「いただきます。」という挨拶をする通り、その静けさの中に“いただく”という感謝の気持ちがあるように思います。

地球と生きものの未来を守る行動としての「ヴィーガン」

ヴィーガンは、19世紀の欧米で広まった考え方といわれ、動物の命を尊重したい、環境への負担を減らしたいといった想いから始まったそうです。

「ベジタリアン」よりもさらに一歩踏み込んだ考え方で、食だけでなくファッションや日用品まで「動物由来のものを使わない」ライフスタイルです。

背景にあるのは、動物愛護や環境問題への配慮で「食べることも、社会を変える行動のひとつ」と捉えて、社会や地球の未来を考えながら、日常の中でできることの範囲がより広がったライフスタイルです。

近年、欧米を中心に環境負荷を減らす観点で、著名人やセレブリティから若い世代を中心に支持が広がり、ファッションやコスメ業界にもその流れが波及しています。

健康とやさしさの間にある選択「ベジタリアン」

ベジタリアンは、19世紀のヨーロッパで広まったといわれています。宗教的な戒律や健康志向、倫理的な理由などから、肉や魚を食べないスタイルですが、一口に「ベジタリアン」といっても、乳製品や卵を食べる人もいれば、植物由来の食材のみを食べる人もいます。最近では可能な限り、プラントベースを選択する「フレキシタリアン」というスタイルを選ぶ人も増えているように感じます。

つまりベジタリアンは「カラダと地球、動物も健やかに」という、やさしいライフスタイル。無理をせず、自分にできるペースで続けやすい“思いやりの食”として広がっているのではないでしょうか。

日本で広まりにくいのはなぜ?

日本では昔から「肉も魚も野菜も、少しずつバランスよく」という考え方が根づいています。

宗教的な食の禁忌も少なく、どんな食材も“自然の恵み”として受け入れてきたので「何かを食べない」という選択が、少しストイックに見えてしまうのかもしれません。

また、もともと和食自体が野菜中心で、豆腐や納豆など植物性のたんぱく質も身近な存在で「もう十分健康的だから、わざわざヴィーガンにしなくても」という考えもありそうですね。

その一方で、精進料理のように“食を通じて心を整える”食文化があるのも日本らしく、ヴィーガンやベジタリアンとは違う形で、静かに“命に向き合う食”が続いているとも思いました。

“正しいか”より、“どう食べたいか”。

小さな意識の変化が、やさしい未来をつくる。精進料理もヴィーガンも、ベジタリアンも根っこには「命に向き合う」というやさしい気持ちがあります。

毎日完全に植物由来食品でなくても、「今日はお肉をお休みして、野菜をたっぷり食べる」だけでも、ひとつの“やさしい選択”。

完璧じゃなくていい。ちょっとだけ、いつもより食べることを丁寧に感じてみる、そんな小さな意識の変化がきっかけの一つになるかもしれません。

今、プラントベースが注目される理由

ここ数年、気候変動や食料問題といった地球規模の課題などを背景に「プラントベース」や「代替肉」などの言葉がニュースで取り上げられるようになりました。

食糧生産が環境に与える影響が可視化され、“食べることが地球に与える負荷”を意識する時代が始まっています。また、コロナ禍以降、ウェルビーイングやフードロスという言葉と共に、「心身の健康」や「自分に合った食べ方」を見直す動きも活発になってきています。

プラントベースフードは、“我慢の食”ではなく“やさしい選択”として見直されているような気がします。

最後に。食べることは、生きること。

どんなスタイルを選ぶにしても、そこにあるのは「思いやり」や「やさしさ」。

いずれにしても誰かに合わせるのではなく、自分のペースで心地よく続けられる形を見つけること。それが、これからの“精進”であり、“ウェルビーイングな食”なのかもしれません。

その気持ちを少しだけ思い出すだけで、

いつものごはんが、少しやさしく見えてくる気がしませんか?

プラントベースフードに興味を持たれた方は、お近くのプラントベースカフェに足を運んでみてはいかがでしょうか?

1110 CAFE/BAKERY

BROOKS GREENLIT CAFE 南青山