1110 CAFE/BAKERYリニューアルプロジェクトを振り返る

こんにちは清水です。8月31日に川口本社の敷地内にある「1110 CAFE/BAKERY」のベーカリーメニューが新しくなりました。これまでお店で圧倒的な人気を誇っていたシナモンロールをヒントに、華やかな見た目と選ぶ楽しさを組み合わせた、100%プラントベースのロールパンシリーズに生まれ変わったのです。

私も少しだけリニューアルのプロジェクトを伴走させていただいたのですが、あらためてプロジェクトというものは大小限らず学びが多く、仕事を通じて最も成長できる機会なのではないかとさえ考えています。ではなぜそう考えるのか?その理由は、野中郁次郎氏と竹内弘高氏の共著「ワイズカンパニー」で紹介されている「新しいSECIモデル」を参考にすると分かり易いので、ここで紹介させていただきたいと思います。

ワイズカンパニーは、企業の競争力の源泉は情報処理ではなく、知識創造という観点からまとめられていますが、知識創造は”経験”によって一人ひとりの知恵が磨かれ、その積み重ねで得られる「実践知」によって実現できるものと説明されています。

プロジェクトは数人単位から数十人単位で何かしらの目的や目標を達成するために発生しますが、達成までのプロセス(例えば、収支計画、進捗・パフォーマンス管理、他事業部との連携・理解、実行力など)が一人ひとりが”経験”を積む上でとても効率が良いと私は考えています。

ワイズカンパニーの前著では、知識は暗黙知と形式知という2つの相互作用のプロセスを通じて創造されると定義されていましたが、そこに知識を創造する個人やチームの存在を組み込んだのが「新しいSECIモデル」です。なお、暗黙知とは個人の行動や経験、主観的な直感や理想などに根差した知識。一方、形式知とは文章化や計量化して一般化できる客観的かつ合理的な知識として説明されています。

では、今回のリニューアルのプロジェクトを「新しいSECIモデル」に当てはめて振り返ってみたいと思います。

参考「ワイズカンパニー」

共同化の局面

そもそも何かの”きっかけ”が無いとプロジェクト自体生まれることはありませんが、その”きっかけ”となるのは個人の強い想いや経験、課題感などではないでしょうか。それを他の誰かと共有することによって、プロジェクトの”種”ができるのが、①の「共同化」です。私はこの局面が極めて大事だと思っていて、なぜなら組織やリーダー(上司)が新しいことや行動に対して否定的であると、これ以上前に進むことが出来ないからです(プロジェクトの”種”を適切に蒔いて水をやらないと”芽”が出ないということですね)。

今回のリニューアルでは、代表の大泉がドイツで目にしたユニークなベーカリーブランドの事例や事業の課題感、今後の方向性などをふまえ、リニューアルの可能性を個人レベルで共有していたのがこの局面になります。

表出化の局面

次の②「表出化」の局面では、プロジェクトを進めるために必要なメンバーが集まり、チームレベルで知識を統合し合うようになります。今回は1110 CAFE/BAKERYのプロジェクトリーダー、商品開発メンバー、PR、デザイナーといったメンバーが集まり、コンセプトや背景を共有しながらいつまでに誰が何をするか?といった全体のスケジュールに落とし込まれていきました。個人の暗黙知が”スケジュール”という形式知に変換される局面ですね。

なお、ここからはチームで仕事をしていく訳なので、個人で情報を抱えていたり、個人同士でコミュニケーションしていてはプロジェクトが円滑に進まなくなるので、リーダーだけでなく、関わるメンバー全員が属人化から標準化にスイッチを切り替える必要があります。今回はプロジェクトのメンバー全員で管理するガントチャートの共有や情報の集積。Slackの専門チャンネルで標準化を実現させていきました。

連結化の局面

次の局面である③「連結化」では、表出化の局面で集まったメンバーそれぞれが社内外のメンバーと協力してタスクを完成させていきます。もちろんプロジェクトがすべて計画通りに進むことはありませんから、その都度どうすれば良いか?を考えて手を打っていくわけですね。なお、この場面でどれだけプロジェクトに向き合えるか(必死にもがけるか!)が、プロジェクトの完成度や個人の”経験”の質に大きく影響されてくると考えています。

ちなみに、そこから生まれる新たなやり方や解決策が体系化されること=”成長”だと私は捉えています。実際には、ベーカリーの新しい配合や焼き方、プレオープンの開催、店舗オペレーションの改善といった新たな経験を経て、リニューアルプロジェクトは完了となりました。

内面化の局面

そして、最後の局面④「内面化」で、プロジェクトのチーム全員が得た知識や経験を自分のものとして吸収し、次のプロジェクトに活かすことで知識創造のサイクルを持続させていくことができるのです。ちなみにプロジェクト終了後の振り返りやナレッジのストック・共有などは、この「内面化」を促進する重要な機会になると考えています(私自身も疎かにしがちですがとても重要です…)。また、連結化の局面で発生した課題や障害に、それぞれが”自分ごと”として向き合うことによって、他の事業部の理解が進んだり、自分の知識の幅を広げたり出来るので、この視点から考えてもプロジェクトへの参画は個人の成長を、効率良く促してくれると言えるでしょう。

さて、「新しいSECIモデル」の①〜④のプロセスを積み重ねることによって、その「実践知」が個人、そして組織へと拡大するイメージができたでしょうか?それを効率良く経験できる機会が”プロジェクト”であると考え、ここで紹介させていただきました。

私たち大泉工場は、歴史ある中小企業でありながら、スタートアップのようなスピード感と新たな事業を生み出すカルチャーを大事にしています。2025年に向けて、食品工場の立ち上げやデジタル事業の立ち上げ、店舗展開や既存事業の新たなカテゴリ進出など、多くのプロジェクトが進んでいきます。まだまだ組織として未熟ではありますが、プロジェクトを通して一緒に成長していきたい方は、ぜひ興味を持っていただけると嬉しいです。

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