地場と共創する意義

  • 機能性発酵飲料「_SHIP KOMBUCHA」の製造販売
  • 100% Plant-Based/Naturalな素材にこだわったカフェ「1110 CAFE/BAKERY(川口市領家)、「BROOKS GREENLIT CAFE(港区南青山)」の運営
  • 約3000坪の自社敷地を活用した各種イベントを開催
  • 自社農場で野菜の有機栽培に挑戦
  • サーキュラーエコノミーの実践                        などなど

素敵な環境を創造し続け、世の中を笑顔で満たす活動をしている、大泉工場のKANです。

年に一度、年始に人々が集まり、挨拶を交わす機会がある。
賀詞交換会だ。

SNSやオンラインミーティングが当たり前になり、誰とでも簡単につながれる時代になった。それでもなお、この賀詞交換会という習わしは、毎年変わらず開催されている。
正直に言えば、以前は少し形式的な行事だと感じていた自分もいる。だが、実際にその場に身を置くと、単なる挨拶のためだけの集まりではないことに気づかされる。

川口市の賀詞交換会に参加した際、改めて「地域に帰属する」ということの価値を、肌感覚として受け取った。
多くの人と顔を合わせ、近況を語り合い、今年の話をする。その一つひとつは短いやり取りにすぎないが、確かに何かが共有されている感覚があった。

そもそも、なぜ人は賀詞交換会に集まるのだろうか。
それは、地元という“チーム”が、今年も一緒に動き出すということを確認する場だからだと思っている。
言い換えれば、目に見えない連帯を、言葉と表情で確かめ合う時間だ。
その確認があるからこそ、新しい一年がスタートする。

顔を合わせ、お互いの存在を再認識する。


僕が経営する株式会社大泉工場は、埼玉県川口市というチームの一員である。

大泉工場は1917年、僕の曽祖父・大泉寛三によって立ち上げられた。
鋳物事業を基盤に、寛三は一代で大泉工場を川口市の中核企業の一つへと育て上げた。
その後、二代目、三代目が事業を引き継ぎ、時代に合わせて形を変えながら会社を存続させてきた。そして現在、四代目である僕が経営を担っている。

100年以上の歴史の中で、事業内容は大きく変わった。
現在の大泉工場は、Plant-Based、Natural / Organic、発酵、そして環境保全といったテーマを軸に、“食”を中心としたビジネスを展開している。
世界を視野に入れた事業展開を進める中で、正直に言えば、以前よりも川口市への帰属意識が薄まったと感じた時期もあった。

だが、賀詞交換会の場に立つと、本当に多くの川口市の先輩方が声をかけてくれる。
何気ない一言や昔話の中に、「期待」や「託す」という感情が含まれていることを感じる瞬間がある。
そのたびに、胸の奥にじわっと込み上げてくるものがある。

そもそも、僕が「地元」という言葉に強い思い入れを持つようになったのは、大泉工場に戻る前、株式会社パルコで過ごしたビジネスマン時代の経験がきっかけだ。

当時、僕が配属されていた宇都宮と熊本のパルコは、厳しい環境に置かれていた。
中心市街地と郊外で商圏が分断され、利便性という観点では、郊外型の大型ショッピングモールに人が流れていく。
中心市街地に位置するパルコの売上、そして商店街の週末の来店客数は、年を追うごとに減少していった。

街、そして地場には、積み重ねられたカルチャーがある。
一方で、全国どこに行っても同じフォーマットで展開される大型ショッピングモールには、文化というよりも「機能」が前面に出ているように感じられた。
しかし、消費者は利便性を選んだ。車社会の地方都市において、広い駐車場があり、天候にも左右されず、効率よく時間を過ごせる場所は、やはり強かった。

当時の上司たちは、その状況を憂いていた。
地元が盛り上がらなければ、カルチャーは死んでしまう。
それはパルコという企業の存在意義を失うことと同義だ、と。

利便性では勝てない。
だからこそ、利便性以外の価値を創造しなければならない。
消費者が「ここを選びたい」と思う理由を、街と共に生み出さなければならない。
その現実に、当時の僕は強い葛藤を覚えていた。

今振り返ると、あの時、僕は一つのことに気づき始めていたのだと思う。
地元にカルチャーがあるかどうかではなく、それを“共創”という形で事業に落とし込めているかどうか。
そこまで踏み込めなければ、街も企業も、次第に空洞化していく。

この空洞化とは、単に売上が落ちることではない。
意味を失い、語られなくなり、選ばれなくなることだ。

話を現在に戻す。
川口市は全国的に見ても珍しく、人口が増え続けている街だ。
外国人問題などの課題は抱えつつも、経済は少なからず前向きに動いているように見える。

そんな川口で、今、大泉工場は何ができるのか。
地元をどう盛り上げていくのか。
どんな価値を、誰に向けて発信していくのか。
それらを考える中で、川口の人々が大泉工場に寄せてくれている期待を、日々実感している。

曽祖父・寛三が鋳物事業を通じてやったのは、川口という地場に産業を実装し、誇りを残すことだった。
令和の時代において、僕が向き合っているのは、そのレガシーをどうアップデートするかという問いだ。

地元を守るために、内向きになる必要はない。
むしろ、地元と深く共創するからこそ、世界中の人々から選ばれる可能性が生まれる。
選ばれる対象は、川口の人だけではない。
価値に共感する人であれば、どこに住んでいても、肌の色も関係ない。

目立つことが目的ではない。手段だ。
結果として、人が集まり、語られ、選ばれる場になること。
その積み重ねが、地元のカルチャーを更新していくのだと思っている。

効率は悪いし、時間もかかる。
それでも僕は、川口という地場と共に事業をつくる道を選ぶ。
地元と共創しない企業は、短期的には成長できたとしても、どこかで必ず意味を失っていく。
そう信じているからだ。

少しでも共感してくれた方はぜひ、当社のリクルートページを見ていただきたい。僕たちがどんな想いを持って、社会課題解決に向けた事業を展開していただけるか、理解していただけると思う。そして仲間に加わってみたいと感じていただけたら、とても嬉しく思う。

大泉工場リクルートページ