こんにちは!デザインチームのJUNです。
大泉工場の掲げる『地球を笑顔で満たす』『素敵な環境を創造する』に共感して一緒に働いています。
以前のコラムで、私の住まいから半径5km圏内にある「高尾山」をテーマにしました。そのテーマのVOL.2として気づいたこと、思うことを書きました。
森に出現した巨大構造物
毎週末、高尾山までランニングするのがルーティンなのですが、気分を変えてうコースを選択した中、突然あらわれた建造物に違和感を覚え、ふと足を止めました。
木漏れ日の差し込む登山道は、空気の密度が都市とはまるで違い、自然と呼吸が深くなる場所です。
しかしその静けさの中に、突如現れたのはコンクリートの巨大構造物──圏央道のジャンクションでした。森の音が消え、代わりに車の走行音が遠くから響いてきます。知っていたとはいえ、受け入れていたとはいえ「なぜ?」そんな問いが胸に浮かびました。

なぜ高尾山に高速道路が通っているの
この建造物は圏央道の八王子ジャンクションにあたります。圏央道は首都圏を環状につなぎ、中央道や東名道など主要幹線と接続する道路。都心部の渋滞緩和や物流の効率化を目的とした重要なインフラです。
けれど、日常的に高尾山の自然に触れている立場からすると、この合理性は山の静けさや命の気配を遠ざける存在にも思えます。
「天狗裁判」と環境アセスメントの限界
圏央道の建設時には、多くの市民団体や地元住民が反対の声をあげました。その象徴が「高尾山天狗裁判」です。
争点は、琵琶滝の湧水がトンネル掘削で一時枯渇したこと、静かな山間部にもかかわらず緩い騒音基準が適用されたこと、さらに高尾山や八王子城跡が「存在しないもの」として扱われるなど、自然を無視した予測モデルでした。
「自然を壊すつもりはない」と言いながら、そもそも自然の存在そのものが計算に入れられていなかった。知ったときのショックは大きなものでした。
開発か自然か──二項対立を超えて
とはいえ、この問題を「開発=悪」「自然保護=正義」と単純化はできません。高速道路が物流を支え、地域経済を活性化させている事実もあります。
大切なのは「開発と自然をどう共存させるか」という視点です。スイスやノルウェーでは、生態系や景観に配慮したトンネル設計や橋脚デザインが取り入れられています。私たちも、そうした姿勢を学び、応用できるのではないでしょうか。
サーキュラーエコノミーというもうひとつの道
高尾山のふもとでは、この数年で新しいお店や拠点が次々と生まれています。
「SALOMON STORE TOKYO Mt.TAKAO」や「高尾さんかく堂」、「TAKAO COFFEE」、そして新しいスタイルを提案する「TAKAO 36 SAUNA」など、登山や観光の枠を超えて“山のある暮らし”を豊かにするスポットが増えてきました。
中でも「BRING CIRCULAR TAKAO」では、不要になった衣類を回収し資源として再生するプロジェクトを展開。サーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方を実際に体験できる場所として注目を集めています。
こうした拠点の誕生は、高尾山の自然を背景に「持続可能な生き方をどうデザインするか」を私たちに問いかけているようです。
そして私たち大泉工場でも、発酵飲料「_SHIP KOMBUCHA」,「1110 CAFE / BAKERY」,「BROOKS GREENLIT CAFE」などを通じて食や地域資源の循環を実践しています。道路のようなインフラも、“直線的な消費”ではなく“循環的な設計”へ──そんな未来の可能性を、高尾山の麓から感じ取ることができるのです。

気づきのまとめ
- 高速道路は便利さをもたらす一方で、自然の中に「違和感」として現れる
- 環境アセスメントには“自然を数字で捉えきれない”限界がある
- 「開発」と「自然保護」は対立ではなく、共存をデザインする課題である
- 高尾山のサーキュラーな取り組みは未来のインフラのヒントになる
豊かさとは何かを問う
高尾山は標高599mながら、1600種の植物、5000種を超える昆虫が生息する生物多様性の宝庫です。古来の信仰の地であり、ミシュランガイド“三ツ星”にも選ばれた世界的な山。その懐を貫いた道路は、便利さと自然の喪失という二つの価値を私たちに突きつけています。
「本当の豊かさとは何か」。森にそびえる建造物は、静かにそう問いかけているのかもしれません。
最後にー_SHIP KOMBUCHAタップと山の余韻ー

ランニング後の水分補給で、TAKAO MOUNTAIN HOUSEで_SHIP KOMBUCHAをタップから一杯いただきました。微発泡のやさしい喉ごし、果実のような酸味。発酵という営みの中に、自然の時間軸と共にある心地よさを感じます。
前回は「YUZU HEADS」だったので今回は「HOP BREEZE」にしました。グレープフルーツやライチハーブのようなアロマが広がり、酸味と華やかさが山の静けさと調和する一杯です。自然で過ごした時間を発酵の力で締めくくる──そんな循環の余韻を味わえます。