- 機能性発酵飲料「_SHIP KOMBUCHA」の製造販売
- 100% Plant-Based/Naturalな素材にこだわったカフェ「1110 CAFE/BAKERY(川口市領家)、「BROOKS GREENLIT CAFE(港区南青山)」の運営
- 約3000坪の自社敷地を活用した各種イベントを開催
- 自社農場で野菜の有機栽培に挑戦
- サーキュラーエコノミーの実践 などなど
素敵な環境を創造し続け、世の中を笑顔で満たす活動をしている、大泉工場のKANです。
僕が経営している大泉工場は、現在4つの直営店を運営している(うち1店舗は休業中)。
1110 CAFE/BAKERY、BROOKS GREENLIT CAFE、そして _SHIP KOMBUCHA TAP ROOM。
どのお店もPlant-Basedでナチュラルな食材を使い、基本的に化学調味料など無添加。「訪れること自体がちょっとだけ環境問題に良い行動になる」ように設計している。
もちろん、どの店舗もすべてが順調というわけではない。お客様で賑わう日もあれば、厳しい数字に直面する日もある。それでも僕は「想いを込めて作ったお店だ」と胸を張って言える。数字だけでは測れない価値を届けるために存在しているからだ。
必要か、選ばれるか
僕はときどき考える。人はなぜ、お店に足を運ぶのか。
理由は大きく分けて二つに分類される。
ひとつは「必要だから訪れる店」。
もうひとつは「選ばれるから訪れる店」。
前者は、コンビニやスーパーのように「必要なものを必要なときに」提供してくれるお店だ。生活に組み込まれ、利便性や価格で選ばれる存在。合理性の世界であり、僕自身も日常的に頼っている。
対して後者は少し特別だ。「あえて、わざわざ、そのお店を選びたい」と思わせる力を持つ店。
これは人によって理由は違うが、共通しているのは「その店に愛着が湧くかどうか」だと思う。つまり、ただ必要だからではなく「心が惹かれて好きになる」「愛される存在になる」ことができるかどうか。
想いは伝わる
僕が感じるその“惹きつける力”の正体は、お店で働く人々の熱気だ。
僕がよく通う飲食店のスタッフは、顔を覚えてくれていることもあるが、何より「お店を選んでくれて、本当に嬉しい!」という気持ちを全身で伝えてくれる。料理の味や価格よりも、その笑顔や態度から伝わる想いが、訪れる理由をつくる。こちらまで幸せになるのだ。
想いは連鎖する──それを体験として実感させてくれるのが「選ばれる店」の条件だと思う。
Whole Foods Marketでの出会い
その感覚を改めて突きつけられたのが、数年前に訪れたアメリカ・ポートランドのWhole Foods Marketだった。
棚いっぱいに並んだプロテインを前に、僕は途方に暮れていた。あまりに種類が多すぎて、何を選んでいいかわからなかったのだ。
そこで品出しをしていた50代くらいの、パートタイムスタッフであろう女性に声をかけた。植物由来のプロテインでおすすめはどれか?と。すると彼女は、最高の笑顔でひとつひとつの商品を説明し始めた。ホエイが入ったもの、完全に植物性のもの、原料に徹底してこだわったもの。それぞれの違いや効果を、自分が開発者であるかのような熱量で語ってくれた。
気づけば10分以上も会話をしていた。商品知識以上に、その人の情熱がまっすぐに伝わってきて、僕はすっかりそのお店に魅了されていた。「パートタイムだろうと正社員であろうと、この人がいるお店なら大丈夫」「このお店は愛されて当然だ」──そう思ったのだ。
なぜ人はお店に行くのか
今の時代、商品を買うだけならオンラインで十分だ。安いものも珍しいものも、クリックひとつで手に入る。便利さではリアル店舗は勝てない。
それでも人は、わざわざ店に足を運ぶ。その理由は、商品そのものより「体験」にある。スタッフとの会話、空間の雰囲気、場の熱気──そうしたものが「選ばれる理由」になる。
僕らのお店が目指すもの
だからこそ、僕らの直営店も「必要だから行く場所」ではなく「選ばれるから行きたい場所」にならなければならない。
BROOKS GREENLIT CAFEでコーヒーやサンドイッチを楽しむひととき。1110 CAFE/BAKERYで焼き立てのシナモンロールを買って帰る喜び。TAP ROOMでKOMBUCHAを飲みながら職人の想いに触れる体験。それらはすべて、ただの消費活動ではなく「心が動く体験」であってほしい。
現実には、課題は山積みだ。忙しいオペレーションの中で、スタッフが常に熱気を持ち続けるのは簡単ではない。けれど、だからこそ直営店を持つ意味がある。現場で交わされる想いが、そのままブランドの温度になるからだ。
終わりに
僕らはまだ道半ばだ。でも「熱気がつくる選ばれるお店」という理想に向かって、日々進化していきたいと思う。
お店は、ただ物を売る場所じゃない。人と人が想いを交換し合う場所だ。そこから生まれる「選ばれる理由」こそが、僕らの存在意義なのだ。