イントロ3秒で、世界はクリスマスになる

こんにちは!デザインチームのJUNです。
大泉工場の掲げる『地球を笑顔で満たす』『素敵な環境を創造する』に共感して一緒に働いています。

冬の朝、ランニングをしていると、空気がやけに澄んで感じられる瞬間があります。
吐く息は白く、耳に触れる風は少し冷たい。一定のリズムで足を運びながら、何気なく流しているラジオから、ふいにクリスマスソングが聞こえてきました。イントロでわかる、あの曲でした。山下達郎さんの*クリスマス・イヴ*です。イントロが流れた、その瞬間。ほんの3秒ほどで、周囲の景色ががらりと変わる。
ついさっきまで走っていたはずなのに、気づけば意識は別の時間、別の場所——記憶の中のクリスマスへと連れていかれています。
この感覚は、意図して再現できるものではありません。
「思い出そう」として思い出すのではなく、音が流れた途端に、勝手に身体が反応してしまう。
まるでスイッチを押されたかのように、世界が切り替わるのです。

なぜこの曲は、これほどまでに長い時間、世代を超えて、老若男女に愛され続けているのでしょうか。

今回のコラムは、そんなことを思い自分なりの見解を綴っていきます。みなさんはこの曲について、どのように思われるでしょうか。

クリスマスイヴで私が印象に残ってるものの一つの、某鉄道会社CM

老若男女を包み込む「入り口の設計」

まず特筆すべきは、イントロの力です。
ベルの音、やわらかなシンセサイザー、静かに重なっていく音のレイヤー。その一音目で「冬」「夜」「クリスマス」という情景が一気に立ち上がります。
ここには、説明がありません。「これはクリスマスの曲です」と言われなくても、身体が先に理解してしまう。
年齢や音楽の知識に関係なく、誰もが同じ入り口から物語に入れる設計になっています。

子どもでも、大人でも、音楽に詳しくなくても、平等に扉が開かれる。
この“入口の強さ”が、老若男女に届き続ける理由のひとつだと感じます。

聴く人が完成させる、余白のある物語

「クリスマス・イヴ」の歌詞は、決して派手ではありません。
誰かの名前も、場所も、具体的な出来事も、はっきりとは描かれません。
だからこそ、聴く人それぞれの記憶が入り込む余地があります。
楽しかったクリスマス、少し切なかった夜、大切な人と過ごした時間、ひとりで迎えた年もあるでしょう。
人生のフェーズが変わるたびに、曲の意味も少しずつ変わっていく。
若い頃に聴いた時と、今聴いた時とでは、同じ歌詞なのに感じ方が違う。
それでも、どちらも「正解」です。

完成形を押しつけない音楽だからこそ、長く寄り添い続けられるのだと思います。

毎年「戻ってこられる場所」がある安心感

新しいクリスマスソングは、毎年たくさん生まれます。
それでも「クリスマス・イヴ」は、流行に押し流されることなく、必ず同じ場所にあり続けています。
年末という節目の時期、人は自然と立ち止まり、振り返ります。
そんなときに、毎年変わらず流れてくる曲があることは、ひとつの安心感になります。
この曲は、消費されて終わる音楽ではありません。
毎年聴かれ、毎年少しずつ意味を更新しながら循環していく存在です。
「なくならない」ということ自体が、価値になっている。
それが、この曲がロングランで愛される最大の理由かもしれません。

新しさよりも、続いていく価値

ここまで考えてみると、音楽だけの話ではないと感じます。
私たちの暮らしの中でも、本当に大切なものは、派手さよりも「続いていくこと」に価値があります。

使い捨てられるものではなく、
何度も立ち返りたくなるもの。
時間とともに意味が深まっていくもの。

それは、ものづくりにも共通する考え方です。

クリスマスイブを聞いてイメージされる画像(この部分は皆それぞれイメージするものが出てくると思います。)

循環という思想と、大泉工場の取り組み

大泉工場では、サーキュラーエコノミーの考え方を軸に、エネルギーや食、場づくりに取り組んでいます。

再生可能エネルギーを使うこと。
発酵という時間とともにプロダクトを生み出すこと。
一度きりで終わらない関係性を、地域の中で育てていくこと。

それらはすべて、「続いていく選択」を積み重ねる行動です。
毎年聴きたくなる曲を大切にする感覚と、どこか似ているように思います。

最後に

今月25日まで、大泉工場 OKS CAMPUSでは、クリスマスの装飾を行っております。
キャンパスの中心に立つのは、廃材を再利用してつくられたクリスマスツリー。
色や形の異なる木材が重なり合い、手づくりならではの温度を感じさせながら、静かにこの場所のクリスマスを象徴しています。

敷地内を歩いていくと、サンタクロース専用の駐車場や、やさしい光に包まれたイルミネーションなど、思わず写真を撮りたくなるような演出が点在しています。
どれもただ「飾る」ためのものではなく、素材の背景や循環への想いが込められたストーリーのある装飾です。

昼と夕方で表情を変えるのも、この時期ならではの楽しみ方。
散策しながら一つひとつの演出をたどっていくと、小さな驚きや、心が少しあたたかくなる瞬間に出会えるはずです。

冬の空気が心地よいこの季節、ぜひOKS CAMPUSで、物語のあるクリスマスをお楽しみください。

大泉工場 OKS_CAMPUS内のクリスマス サステナブルをテーマに廃材や未利用部材などを使って仕上げた装飾

ABOUTこの記事をかいた人

YAMAGUCHI JUN

「地球を笑顔で満たす」をミッションに掲げて、「well-being」な様々なビジネスを展開している大泉工場に共感して入社。デザインの視点から、笑顔で素敵な環境を創造していくべく奮闘中。FAVORITE WORDS:『I LIKE TODAY』『TODAY IS A GOOD DAY』