大泉工場で広報PRを担当している加藤です。
2025年10月、群馬県前橋にある有機農場「プレマ・オーガニック・ファーム」が、大泉工場グループとして仲間入りしました。素晴らしい自然環境の中、スタッフの皆さんから愛情たっぷりに育てられた野菜たちは、本当にいきいきとしています。
※プレマ・オーガニック・ファームについては、農場担当の今井さんが素敵な記事を執筆してくれています。ぜひご覧ください。
https://www.oks-j.com/brain/2025/12/09/organic-smile/
先日、代表の大泉とともにプレマ・オーガニック・ファームを訪れた際、大泉工場の農業指導をしてくださっている”有機農業カンパニー”オーガニックパパ株式会社 代表の八尋健次さんから、こんな言葉を教えていただきました。
「プレマ・オーガニック・ファームの土は最高。土は人間がつくることができないから、本当に特別なことなんだよ」
という言葉が頭から離れず、このコラムを書いています。
なぜなら「土」は、私の人生の中で何年も興味が薄れないランキング堂々の1位をキープし続けているテーマだから。
第1位:土
第2位:日本の祭り
第3位:料理をつくっている職人の手元
というわけで、今回は 「『土』って凄すぎる」というお話です。
土と腸の関係が、ずっと気になってる。
ここ数年、なにかと「土」への興味がニョキニョキと顔を出します。
正確に言うと「『土と腸』のこと」と、言うべきかもしれません。
ここ最近、仕事の合間はオーディション番組出身の歌とダンスが秀逸なアーティストの話ばかりしていて、自分でも「ミーハーだなぁ〜」とつくづく思うのですが、それと同じ熱量で「土と腸」を語り、自ら実践を重ねてきた先人たちにも強い関心があります。
調べものにはインターネットが便利ですが、深く知りたいときにはやっぱり「本」に頼ります。
本が教えてくれた「内側の環境」
自宅の本棚にある「土と腸」に関する本の中から、いくつかご紹介します。
三木成夫氏は『人体 五億年の記憶』の中で、人体を完成された構造物としてではなく五億年にわたる進化の履歴が折り重なった存在として捉えています。デイビッド・モントゴメリー氏は『土と内臓 微生物がつくる世界』で、「植物の根と人間の腸は、目に見えない微生物(土壌微生物・腸内細菌)と共生し、栄養の吸収や病原体から身を守っている」と述べ、土壌と人体に共生する微生物の驚くべき役割に光を当てました。また、内科医の桐村里紗氏は『腸と森の「土」を育てる』の中で、「人と地球は相互依存関係にあり、人を含めた地球全体の健康を実現する」という「プラネタリーヘルス」の概念を、わかりやすく解説してくれています。
腸は、環境そのもの。
「内臓とは、外界と切り離された器官ではなく環境と連続した『場』なのだ」。この考え方は、新鮮というより、妙に納得がいきました。
腸は、単なる消化器官ではありません。外界から入ってきたものを受け取り、無数の微生物とともに分解し、合成し、選別する。その関係性のバランスによって、身体全体の調子が左右されます。
この構造を知れば知るほど、 「社会や人間関係のあり方と、よく似ているなぁ」と感じるようになりました。
私たちは、自分たちの力だけで価値を生み出しているようでいて、実際には、数え切れないほどの他者や環境に支えられています。食事でいえば、材料を育てる人がいて、つくる人がいて、運ぶ人がいて、買う人がいて、味わう人がいる。「おいしい」という言葉が返ってくることで、良い循環が生まれます。
人間の体内も同じ。
腸内環境が乱れると不調はすぐには表に出ませんが、気づかないところで蓄積し、ある日突然、別の場所に症状として現れる。効率や合理性を優先するあまり見えない関係の歪みを放置すれば、回復にはより多くの時間がかかってしまう。だからこそ、腸内環境を整えるという行為は単なる体調管理ではなく見えない関係に目を向け、全体の調和を取り戻すためのきわめて構造的な営みだと思います。
土から始める、という選択。

この感覚は、「土」について考えるとさらに明確になります。
土もまた、目に見える作物より先に微生物や有機物/水や空気といった複雑な関係性によって成り立っている環境です。
『いごこちのよい土壌』(関祐二 著)や 『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』(藤井一至 著)が描くのは、土が「使われる資源」ではなく、長い時間をかけて育てられる存在であるという事実です。
2025年、大泉工場は、有機農業を実践するプレマ・オーガニック・ファームをグループに迎え入れ、第一次産業に本格的に踏み出しました。その理由は、原料調達だけの話にはとどまりません。この背景にあるのは、近年注目される「リジェネラティブな農業」の考え方。それは、環境負荷を減らすことだけを目的とするものではなく、「土」が本来持つ回復力を引き出して生態系や地域との関係性をもう一度編み直そうとする試みでもあります。
日本は、微生物多様性に富んだ土壌と、発酵を生活文化として育んできた国。
「腸」を整える知恵と、「土」を育てる思想は、本来、もっと近い場所にあったはずだと感じています。「土」も「腸」も、普段は目には入らないけれど、そこで何が起きているかは後になって効いてくるものです。
ということで、どうやら私の「土」への興味はまだまだ薄れなさそうです。
>プレマ・オーガニック・ファームについて
https://www.premafoods.com/farm





