「まちづくり」というアート

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こんにちは、Natsukiです。
9月後半、まだまだ残暑厳しい日が続いておりますが皆さまいかがお過ごしでしょうか。

私は先日、9月14日~24日で開催している「豊岡演劇祭」に参加して参りました!
今回は豊岡を通して様々感じたことを皆さまへお届けできればと思います。

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豊岡演劇祭とは

そもそも「豊岡演劇祭」とは何か。
ご存知ない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単にご説明させていただきます。

演劇祭の舞台となるのは、演劇を用いたまちづくりをしている兵庫県「豊岡市」。

5町1市が合併した大きな市で、温泉で有名な城崎や、
スポーツ合宿が盛んな神鍋高原などがあります。

豊岡市は「小さな世界都市~Local&Globalcity~」を目指し、
演劇でまちづくりを行っているのですが、そのきっかけとなったのは、
兵庫県から城崎大会議館の払下げ時、豊岡市長が劇団に貸すことを思いついたことからだそうです。

ちょうどその時に、たまたま演出家の平田オリザ氏が別の講演会で豊岡を訪れていて、
市から平田氏へ相談を持ち掛け、あれよあれよという間に様々な革新的アイディアが、
ものすごいスピード感で実行されていくこととなりました。

2014年の城崎国際アートセンター設立に始まり、小中学校への演劇教育の導入、
2021年には演劇まちづくりの立役者である平田オリザ氏を学長に迎え、
日本初の国公立で演劇を本格的に学べる芸術文化観光専門職大学が開学したりと、
着々と取り組みは広がってきています。

そんな豊岡市で2020年よりはじまった「豊岡演劇祭」は、
観光/まちづくり/芸術文化振興/国際交流 の役割を担う、
演劇やダンスを中心とした、舞台芸術フェスティバルです。

 

以下公式サイトより引用

豊岡演劇祭はアジア有数のフリンジ型の国際演劇祭を目指しています。
国内外のアーティストの創造発信や交流する場を生み、多様な文化や価値観に
市民や来訪客が触れる機会を創出することで、
芸術文化の振興や国際交流に貢献したいと考えています。

また、豊岡演劇祭は観光とまちづくりと連動したフェスティバルでもあります。
フェスティバル運営を通じ、回遊性向上に関する施策、公共交通のモビリティ実証実験、
地域通貨の導入、観光事業と連動したプログラム造成、市民参加のプログラムや
ワークショップ開発など、さまざまな施策を通じて地域社会に還元することを目的とした
取り組みを行ってきました。

これら文化観光推進事業に関する活動が評価され、
2021年には文化庁「スポーツ文化ツーリズムアワード2021」文化ツーリズム賞を受賞しました。

2021年開学の芸術文化観光専門職大学とは、プログラム造成や学術研究に関する連携を進め、
事業推進、学術的評価や効果測定を通してその知見を還元し、
地域社会に一層貢献をしていきたいと考えています。
参照:https://toyooka-theaterfestival.jp/about

 

スタート年の「2020」という数字、みなさまならピンとくるかと思います。

そうなんです。「豊岡演劇祭」は、まさにコロナ禍にスタートし、
第1回目の2020年は客席数を50%にしての実施、2021年は緊急事態宣言を受け開催中止、
実質第2回目開催となった2022年は感染対策を施したうえでの開催。

そして今年度は、初めてひらかれた状態での開催ということもあり、
私もやっと足を運ぶことができました!

私が今回豊岡演劇祭に参加しようと思ったきっかけは、
昨年から大泉工場本社敷地であるOKS CAMPUSにて、
マーケットに加えWAREHOUSEでの演劇公演なども企画運営していくようになり、
規模はだいぶ違いますがまちをあげての国際演劇祭を肌で体感してみたいと思ったからです。

演劇祭の魅力

演劇祭の魅力としては、世界レベルの作品を体感
(…いやこの場合は浴びるといった方がいいかもしれない)できること。
公募アーティストによる約100団体によるパフォーマンス体験。

劇場だけでなく、温泉街や海岸、高原、キャンプサイト、
神社の境内に設けられた木造の農村舞台など、さまざまなランドスケープが舞台になるのも特徴的。
もちろん、もともとある地域の観光資源と芸術文化の組み合わせによる相乗効果もあげられます。

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城崎温泉街のフリンジストリートの様子

そんな中、今回実際に足を運んでみて私が実感した魅力の一つは、アーティストや演出家、
はたまた演劇祭のディレクターやプロデューサーなど、
普段あまり同じ目線でお話する機会が少ない方々と、
気軽に意見交換できる環境がつくりあげられることでした。

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会期中に開催されたトークイベント『YPAM丸岡とKEX川崎に豊岡の松岡が聴く夕べ』
左から豊岡演劇祭プロデューサー松岡大貴さん・KYOTO EXPERIMENT共同ディレクター川崎陽子さん・YPAMディレクター丸岡ひろみさん

たとえばイベントに参加していたお隣さんとお話ししていたら、
実は演劇祭のために来訪していた世界的な演出家だった!と後で判明したり、
まちの喫茶店でアーティストと偶然出会い、そのまま一緒に珈琲を飲みながら
作品についてお話したり…ということが演劇祭ではできてしまうのです!

(実際、世界で活躍されている演出家岡田利規さんと岡田さんが登壇されていた
対談イベント直後に喫茶店でお会いし、珈琲を飲みながらお話させていただいたり、
豊岡演劇祭プロデューサーの松岡大貴さんとまちなかでお会いしお話させていただいたりしました。)

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訪れる人と地元の人が交流できる多目的ミーティングスポット「まちの基地アンテナ」       演出家岡田利規さんとお会いした、まちの喫茶店

こういったコミュニケーションは、特に(芸術と暮らしの間に明確な境界線をつくる傾向にある)
現代の日本では中々勇気がいるかと思うのですが、

まちをあげての「お祭り」という非日常の空気感が、
社会に蔓延る様々な境界線を曖昧にさせてくれるという感覚があり、
演劇祭ならではの醍醐味だなぁと感じました。

演劇の力でまちおこし

また、まちづくりという観点で、地元の人たちはどのように演劇祭に関わっているのかというと…

地域の小中学生~大人までが参加する地神楽創作プロジェクト
「但東さいさい」や、市民参加によるオリジナル作品「豊岡かよっ!」の上演、
地域で活動している中から出店者を募り開催しているナイトマーケット、
演劇に馴染みがあまりない方も楽しめるようなコミュニケーションWSの開催などの企画が開催されています。

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ナイトマーケットの会場で行われていた、子どもも楽しめる演劇パフォーマンス 地神楽創作プロジェクト『但東さいさい』

もちろんプロジェクトを推し進める中で、地元の人たちにとってそのプロセス全体が
一種の暴力性を孕んでしまう可能性があることは誰もが想像しうることです。

今回初めて現地に足を運び、実際に体験したりお話を聴いた率直な感想としては、
市民と演劇祭との距離はまだまだこれからなんだろうな、という感覚でした。

しかし、豊岡市の演劇によるまちづくりについてより深く調べていくと、
小中学校への演劇の技法を用いたコミュニケーション教育の取り入れや
芸術文化観光専門職大学の目指すところなど、豊岡市の取り組みは単に一過性のものではなく、
こうした日常に入り込んでいるところに、まちづくりへの本気度と未来への希望を感じました。

豊岡市の演劇まちおこしの立役者であり、豊岡演劇祭のディレクターである平田氏は、
演劇祭初年度の2020年にこう話しています。

「そもそもアートとは、組み合わせで可能性を引き出すことであり、
その価値は言葉で説明して理解できるものではありません。演劇祭も同じで、豊岡演劇祭の
プロジェクト自体がアートなのです。だからやってみせるまではその価値はわからないのです。」

「こんな壮大な社会実験は世界的にも珍しいので、どうなっていくのかはわかりません。
でも、世界中の人が憧れるまちにすることで、地元の人が誇りに思う地域にすることが
最終的に一番大切だと思っています。」

わからないからやれない、ではなく、「やってみせる」という革新性。
まちづくりも一種のアートとして捉え、ソウゾウしていくおもしろさ。

理念だけではなく、理念を体現した人間がいることではじめて物事は動いていくのだと、
豊岡市のこれまでの歩みを学びながら実感しました。

「アートによってまちが変わっていく、そしてまちが変わることでまたアートが広がっていく」
ということを、現在進行形で感じていける豊岡市。これからも要注目です!

大泉工場の取り組み

「演劇」という切り口でいうと…大泉工場でも、3000坪の緑豊かな工場跡地を活用し、
様々な取り組みをはじめています!
(ARTISAN) FARMERS MARKET会場での俳優によるゲリラ・パフォーマンスや、
WAREHOUSEと日本家屋を活用しての新しい観劇体験の実験上演などなど…

そして今年下半期の注目企画はこちら!

10月13-15日 「シン・タイタス REBORN」
コロナの影響により3度中止後、満を持してのカクシンハン本公演!
劇場とは違う、OKS CAMPUSでしかできないシェイクスピアの観劇体験をお届けします。

詳細:https://stage.corich.jp/stage/278677
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10月29日 「聴く力、伝える力を育てる!子どものコミュニケーション講座」
プロの演出家・俳優を招いての子どものコミュニケーション教育講座!

地域の密な交流の減少や核家族化などで大人と子ども、
子ども同士のコミュニケーション不足が危ぶまれている中で重要となるコミュニケーション能力を、
楽しく体験的に学んでいきます。

詳細:https://oks-jukubox.com/seminar/communication-theatre-kids/
ナツキさん6

他にも様々な企画をご用意しておりますので、是非一度OKS CAMPUSへ足を運んでみてくださいね!

ABOUTこの記事をかいた人

Natsuki

精神と身体の関係性に興味をもち、2019年よりSri Dharma Mittraのもとでヨガを学び始める。その中で人生の学びコミュニティを運営したいという想いから2022年JUKUBOX立ち上げに参画。趣味は踊りと旅、読書。