- 機能性発酵飲料「_SHIP KOMBUCHA」の製造販売
- 100% Plant-Based/Naturalな素材にこだわったカフェ「1110 CAFE/BAKERY(川口市領家)、「BROOKS GREENLIT CAFE(港区南青山)」の運営
- 約3000坪の自社敷地を活用した各種イベントを開催
- 自社農場で野菜の有機栽培に挑戦
- サーキュラーエコノミーの実践 などなど
素敵な環境を創造し続け、世の中を笑顔で満たす活動をしている、大泉工場のKANです。
2025年12月12日。
__SHIP KOMBUCHAから新しいフレーバー「GINGER GROOVE」が発売された。
ただの新商品のリリースではない。これは、僕にとっては“13年の物語の結晶”のようなプロダクトだ。
けれど、社内でどれだけこの想いが共有されているかといえば、自信があるわけではない。
どれほど丁寧に説明しても、言葉では伝わらない温度があるし、そもそもプロダクトとは「出てきたもの」が全てだ。情緒的な背景は、たいてい消費者の購買には直結しない。それでも、今回だけは、その背景を記しておきたい。僕が本当に届けたいものを、あらためて言葉にしておきたいと思った。
■全ては“マイナスの土地”から始まった
話は13年前まで遡る。
僕がオーガニックという概念に強烈に心を奪われ、何か行動を起こしたいと思い始めた頃のことだ。
社内のスタッフたちと雑談をしていた時、「大泉工場には、手付かずの荒れ果てた土地があるらしい」という話を聞いた。
車で15分ほど走った住宅街。
そこには雑草を通り越して、クズの根が土の中を縦横無尽に走り、木なのか茂みなのか判別できない“塊”がいくつも立っていた。
耕作放棄地――という言葉では足りないくらい、まさに“マイナス”の状態。
それでも、僕の心は妙にざわついた。
「ここをオーガニック農場に再生できたら、どれほど可能性が広がるだろう」と。
当時、福岡県筑紫野市の「オーガニックパパ」八尋さんと出会っていたことも大きい。とあるオーガニックセミナーで登壇されている八尋さんの話に感銘を受け、自分から熱烈にアプローチをしたのが、出会いの背景だ。何度も相談に乗ってもらい、覚悟を決めた。
2015年頃から、ユンボなど重機を借り、まずは土地を“ひっくり返す”ところから始めた。
最初の数ヶ月は、正直きつかった。
土は固く、スコップも跳ね返り、耕せば耕すほど自分の非力さを思い知らされる。
だが、続けているうちに、不思議と土の手触りが変わっていくのがわかる。
同時に、この土地での作業は、僕にとってただのプロジェクトではない、何かもっと深い役割を持ち始めた。
■楽ではない再生。理解されない孤独
農薬も化学肥料も使わない再生は、想像以上に難しい。
キノコ工場から廃菌床を譲り受け撒いてみたり、真夏に陽熱処理をしたり、コールドプレスジュースやコーヒーの搾りかすをコンポスト化してみたり・・・。
どれもすぐに成果に結びつくわけではなく、時には徒労感すらあった。
けれど、もっときつかったのは、社内の冷ややかな目線だった。
声をかけても誰も農場に来ない。
「社長が遊びで土いじりをしている」―――そんな空気が社内に漂っていた。
孤独だった。でも、やめようとは思わなかった。
なぜか、この土地が僕を手放さなかったからだ。
少しずつ土が柔らかくなり、微生物の気配が濃くなってくると、八尋さんが笑って言った。
「この農場は大泉さんの想いがこれだけこもっている、いい野菜が育つ」
その言葉に、何度も救われた。
■土地の再生が、人を変えていく
数年かけて、大泉農場<mizuiRo farm>と名付けたこの土地は、ゆっくりだが確実に息を吹き返していった。地元の子どもたちが、お手伝いと称して遊びにきてくれる。農場担当スタッフも雇用し、一緒に耕す時間が増えるにつれて、社内の空気も変わり始めた。※残念ながら現在、農場担当スタッフは不在。募集中である。
休みの日に子どもを連れて手伝いに来てくれる仲間も現れた時、僕は胸が熱くなった。
「農場」という一つの場所が、人の価値観を変え、人間関係を変え、会社の未来を変えていく。そんな手応えを初めて感じた。
この経験があったからこそ、2025年10月に、プレマオーガニックファームを子会社化する決断もできた。
農業の本質に触れずに、畑を語ることはできない。
僕があの土地で汗を流していなければ、この未来もなかったと思う。
■そして、生姜が生まれた
大泉農場では、さまざまな作物を育ててきたが、土質や環境を踏まえ、生姜やウコンなどのショウガ科の植物が今、最も適していると判断した。
約半年かけ、大泉工場の新たなスタッフたちと丹精込めて育てた生姜を、掘り上げた瞬間の感動は、なんとも言い難い。ズボッと抜ける感触。土から立ち上がる生姜の香り。
“命をいただく”という行為の原点が、そこにあった。
ブルワーチームの一人がそれらを丁寧に洗い、コールドプレスし、ジンジャージュースに仕上げ、_SHIP KOMBUCHAに漬け込む。そして独自のスパイスを配合し、味が整う。
農場から醸造所へ、土から発酵へ。
この循環こそ、僕がずっと作りたかった風景だ。
そして完成したのが「GINGER GROOVE」である。
■想いだけでは売れない。でも、想いがなければ、未来は創れない
ここまで語っておいてなんだが、消費者の購買行動に“物語”はそれほど強く影響しない。
求められているのは、ただ美味しくて、適正な価格であること。
コンビニのジンジャーエールは160円。
対してGINGER GROOVEは600円。
この価格差を、どう超えていくのか。
僕らは常に、この問いと向き合わされる。
想いが強いから売れるわけではない。
けれど、想いがなければ、この国の食の未来は変わらない。
その矛盾のあいだで揺れながら、僕らは今日も、プロダクトと向き合う。
GINGER GROOVEには、僕の13年と、大泉工場スタッフたちの想いと時間が詰まっている。
だが、最終的に評価を決めるのは、飲んでくれる人の舌と心だ。
だからこそ、この挑戦は難しく、そして面白い。
価格を超える価値をどう創り、どう伝えていくのか。
僕らの情熱と、消費者が求める“本質”が交わるポイントを探し続けること。それこそが、_SHIP KOMBUCHAの未来を形づくる行為だ。
僕が本当に届けたいものは、単なる飲料ではない。
土から生まれた命の循環、想いのバトン、そして未来への小さな希望だ。
それが、GINGER GROOVEという一本のボトルに詰まっている。
僕らと一緒に、こうした循環を生み出す仲間も募集中だ。
興味を持ってくれた方は、ぜひリクルートページを覗いてみてほしい。






